新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防ぐために

2020.03.13
お知らせ

医師部長 安来 志保

昨年末から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による私たちの生活への影響が見られています。連日の報道で不安に感じている方も多いと思います。この新しい感染症については、まだすべてのことは解明されていません。
2020年2月29日現在で分かっていることについて、お伝えしたいと思います。そして、私たちが感染を拡大させないためにできることについて考えてみましょう。

【新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とは】

COVID-19はコロナウイルスというウイルスによる感染症で、風邪のような症状(微熱を含む発熱、鼻水、鼻詰まり、ノドの痛み、咳など)から始まります。中国の4万人のデータの報告によれば、患者の8割は重症化に至らず治癒するようです。
数日~1週間以降に2割弱の患者では、肺炎の症状が増強し入院に至ることがあります。
特徴的なのは、症状の続く期間の長さです。COVID-19は風邪やインフルエンザによく似ていますが、症状が続く期間がそれらと比べて長いという特徴があるようです。風邪やインフルエンザは4日以上症状が続くことは少ないこと、そしてCOVID-19であったとしても8割以上の症例は自然によくなるため、厚生労働省は受診の目安を「4日以上」(高齢者や持病を持つ方は「2日以上」)と設定しているのです。風邪やインフルエンザのような症状があるからと言ってすぐに医療機関を受診する必要はないというわけです。
また、現在のところ、東京西部保健生協の3つの診療所を含め、一般の医療機関ではコロナウィルスの検査はできませんので、4日以上37.5度以上の発熱や風邪の症状が長引く方は、杉並保健所保健予防課等に電話して指示を仰いでください。

【感染を防ぐには】

COVID-19を引き起こす新型コロナウィルスの感染経路は、感染者のくしゃみや咳によって発生したウイルスを含んだ飛沫を直接吸い込んだり(飛沫感染)、ウイルスの付着した手で鼻や口に触れること(接触感染)で感染します。感染対策はいたってシンプルで、手を介した感染経路の遮断が重要です。そのため、手洗い、もしくはアルコールベースの消毒が感染予防に重要です。
高齢者や持病のある方は、重症化しやすいと言われていますので、不要不急な外出は控え、なるべく人混みは避けるようにしましょう。

【診療所からのお願い】
もし、発熱や風邪症状で診療所に受診される方は、来院される前に必ずお電話で相談してください。診療所内での院内感染を防ぐため、お電話の相談でCOVID-19が疑われる場合には、保健所への電話相談をお勧めします。また、診療所に受診される場合は、なるべく患者さんの少ない時間帯にご案内いたします。

医師部長 安来 志保